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第3話 出航・メシ・ダンス  

 一息ついて、石田君と共に早速甲板に出てみる。

 甲板では隙間なく中古車が積み込まれ、クレーンによって空高く車が釣りあげられている。ちょっと奇妙な光景だ。積み込まれている車を見ていると次第に日本人が集まってくる。で、知らず知らずのウチに自然と話しをしている。フツー、日本の町中にいたならこうして見ず知らずの人と無意識に話しするなんて事はないだろう。

 そんなこと考えているうちに最後の車を積み終わり、午後6時50分頃(脚注1)見送る人もなにもない中、淋しく出航。夕暮れの中、みるみるうちに日本が離れていく。

 しばらくの後、たまたま石田君とレストランの前を通りかかり中を覗き込むと日本人がメシを食べているではないですか。もうメシの時間なのか?と、首をかしげる石田君に対し、私は「どっかの団体さんとちゃう?」

しかし、見れば先ほど甲板で知り合ったコバヤシ君も食べているではないか。聞いてみると「なんか知らんがメシの時間らしい」との事。
ならば食える時に食っておこう。ついでにテーブルの上に残ったパンも部屋に持ち帰ってやろう。(脚注2)

 食後は特に何もする事なく、ロビーでソファーに座り、石田君、コバヤシ君、謎のロシア通のセミプロ、そして私の4人で喋りこむ。いつしか、出国審査を行ったミュージックサロンが賑やかだ。セミプロを偵察に行かせ、聞いてみるとショーが行われるとの事だった。それは是非とも行かねば。

 ショーは司会のおばちゃんによるあいさつの後、ダンサーによる歌や踊り。なんて言うか、感想を一言で言えば『濃い』。あまりにも濃すぎる。ハイ●ールのリ●ゴのようなおかっぱ頭の女性ダンサー。曲によって衣装を変えているあたりはさすがである。が、背中の羽はどうなんや?

 1時間もすればショーは終わり、後はディスコタイムとなる。昼間、出国審査が行われたその場所は、揃いのユニフォームを着たおねーちゃん達のダンスフロアとなり、明け方まで延々踊られまくるのであった。

つづく

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脚注1:日本時間。

脚注2:この後、夜食として大変役に立つ。



↑甲板一杯に隙間なく詰め込まれる日本車