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第4章 第3話 ウラジオストック空港
(後編)
 

 出発ロビーはそのまま滑走路に面している。
 私は木刀君とその友達の3人で一緒に滑走路を眺めていた。

 滑走路には大阪からやって来たばかりの飛行機が到着。にぎやかな乗客を乗せて、ターミナルへ向かうバスが私の目の前を通過して行く。

 またしばらくして別の飛行機が到着。見た事のない真っ赤に塗られた機体にハングルの文字。北朝鮮からの便だ。普通、日本ではまず見る事の出来ない北朝鮮の飛行機を見てちょっと興奮。

 出発ロビーにバスが横付けされた。ようやく飛行機へ搭乗できるのだ。

 『ロシアの国内便は自由席だ』と言うウワサは本当だった。

 飛行機に乗り込むとスチワーデスさんが「どこでもいいからサッサと座れ」てな感じで乗客を捌いている。搭乗券には一応座席番号が書かれているのだが、関係ないようだ。
 私は後方の窓側に座る。

 そして荷物は...と言えば、「え、足下に置くのか?」(脚注1)

 7時を少し回った頃、けたたましい音をたて、デコボコの滑走路を疾走する。
 不安な私を乗せ、飛行機は離陸。ぐんぐん地上を離れ、快晴のシベリアの空の上へと吸い込まれて行く。眼下を見ると緑一面の原野が広がっている。

 やがて飛行機は高度を一定に保ちはじめた。

つづく  

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 脚注1:普通、日本では手荷物はシート下の空間か、シート上に置いて足下は開けるものだが....