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第6章 第1話 帰国の朝  

 ロシア最後の朝。
 7時半に現地旅行会社の人に送迎に来てもらう予定になっていたので、手早く仕度してロビーへ降りる。車を運転する位だから、ごっつい感じの男性を想像してロビーへ行ってみると、待っていたのは意外にも若い金髪女性(脚注1)だった。

 簡単に挨拶を交わし、ワゴン車に乗り込む。
このガイドの女性は日本語を話せ、必死にサハリンの良さをアピールしていた。つまり、また来てその時はウチの旅行会社を指定してくれ、と言う事だろう。

 曇り空の下、車はどんどん原野の中の一本道を飛ばして行く。時折、茂みの中に木造の家が見えかくれする。コルサコフの港に着いたのは8時過ぎ。距離は約30kmと聞いていたが、結構近い印象があった。それだけ飛ばしていた、と言う事なのだろう。

 コルサコフの街に入ってもどこも見物する暇もなく、フェリーターミナルへ。もっとも、見物するような街でもないのだろうが...。フェリーターミナルはとても簡単な作りの小さい建物。それでも狭い待ち合い室には日本人が20人はいただろうか。サハリンにこんなに沢山日本人観光客が潜んでいたとは驚きだった。(脚注2)

 出国手続きが始まり、ぞろぞろと税関へと進む。ガイドさんに別れを告げ、私も税関へと向かう。出国審査を過ぎるとその先に1台の観光バスが待っていて、それに乗れと指示される。税関から埠頭まで離れている為、これで移動との事らしい。何人かの日本人を乗せてバスは埠頭へ。

 船はルーシー号の時と違い、綺麗ではあるが、瀬戸内航路のように小さめの船内。乗客を乗せ終わると、定刻を若干過ぎた10時20分にロシアを離れ、曇り空の下を稚内へと向かった。

つづく

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 脚注1:しかも美人

 脚注2:そのほとんどが『JTB サハリンツアー1週間』と書かれたフダを下げていた。

曇り空の下、コルサコフへと向かう