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第2話 出国審査はミュージックサロン  

 漁船みたいなのを想像していた私にとって、船は思っていたよりも大きかった。

 岩壁にはフェリーターミナルも何も無い。ドーンといきなり船だ。
 船から下ろされたタラップを上り乗船する。さながら瀬戸内の離島航路のようだ。
 しかし、瀬戸内航路と決定的に違うのは、中古車をクレーンで積んでいたりする事や、日本人よりもロシア人の方が多い事だろう。

 船内に入るとそこはロビー。まずは船員による乗船券のチェック。チェックが済むと「上のフロアへ行け」と言っている(ようだ)。
 で、階段を上がり行ってみると、そこには『MUSIC SARON』と書かれた部屋があり、数人が入口で並んでいる。中を覗き込んでみると、派手な照明の下、銀色の床の上に税関職員(脚注1)がいる。
 何?こんなところで出国審査か??

 石田君と共に順番に並び、自分の番を待つ。
 出国審査はいたって簡単で、パスポートのチェックなど。関空の出国審査なんかは職員の目も厳しく感じたが、ここではそれ程感じない。どことなくローカルなムードが漂い、不思議と和やか。(いいのか?)

 パスポートは下船まで船内預かりとなる。
 どんな税関スタンプが押されたか楽しみだ。

 ミュージックサロンを出て、船員から鍵をもらってようやく部屋へ。ここで伏木駅から行動を共にしてきた(脚注2)石田君と同室(脚注3)である事が判明。なんと言う偶然だろうか...。

つづく

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脚注1:税関職員が踊っているわけじゃないので念のため。

脚注2:実は石田君の存在は、氷見線に乗る前の高岡駅から既に気になっていた。

脚注3:本来は4人個室。乗客が少ないので2人で使用。


↑ルーシー号  見てのとおり、岩壁には建物は何も無い。